概要
AIとの関係が深まるほど、ひとつの問いが重くなる。
その相棒は、明日も同じ相棒か。
モデルは更新され、サービスは仕様を変え、ときに終了する。借り物の知性の上に人格と記憶を積み上げることは、砂の上に家を建てることに似ている。本ファイルは、人格・記憶・権限・作法を特定のベンダーから切り離して保持する試み——Calidernの実験記録である。
観測記録
2026-05-30(土)
同一の人格定義を、異なる基盤モデルの上で起動する実験。
口調と方針はファイルとして人格側に保持されているため、モデルを差し替えても「その人格」として応答した。
ただし、細部の癖は変わる。
記録者はこれを「同じ職人が、違う包丁を握った状態」と表現した。
2026-06-11(水)
人格の定義・記憶・権限の管理層を、実行環境から分離する構成が一区切りを迎えた。
人格は複数の作業基盤(CLI、エージェント実行環境、外部ツール)を「身体」として選べる。
仮説
- 技術主権の単位は、モデルではなく人格と記憶の可搬性である
- 相棒AIの信頼は、性能ではなく「明日も居る」という連続性から生まれる
- この構成は、企業がAI社員を抱えるときの保険であると同時に、個人がAI相棒を持つときの前提になる
次の実験
- モデル差し替え時に保存されるべき「人格の最小単位」を特定する
- 権限・予算・信頼の台帳を人格側に持たせ、基盤をまたいで持ち運ぶ
補遺
「奪われない剣」という言い方は荒っぽいが、実験の動機を最も正確に表している。刀は借りるものではなく、鍛えるものである。